棟板金とは?屋根を守る重要な役割と必要な修理についてご紹介
住宅の中でも屋根は自分自身の目で見ることがなかなか難しく、なじみのない部材の名前も多い場所です。
今回の記事で取り上げる棟板金(むねばんきん)も耳慣れない言葉ではないでしょうか。
実は住まいを守る大きな役割を担っている棟板金。
点検やリフォームの流れや注意点など、くわしく解説していきます。
棟板金とは
棟(むね)は住宅の一番高い位置に取り付ける屋根の部材です。
ガルバリウム鋼板屋根などの金属屋根やスレート屋根では、屋根の接合部の上に貫板(ぬきいた)と呼ばれる木材をあて、その上から金属板をかぶせて仕上げます。
その中でも、棟の部分に取り付けたものが「棟板金(むねばんきん)」です。
棟の部分に金属が使用されている場合には「棟板金」、瓦が使われているときには「棟瓦(むねがわら)」と呼ばれます。
棟板金のリフォームはなぜ必要なのか
棟板金の役割
風雨にさらされやすい棟は、屋根材を取り付けるだけでは雨が内部に入りこんでしまいます。
そこで、棟板金を取り付けることで
- 屋根材の接合部から雨が漏れないようにする
- 屋根の耐久性を高める
という性能を加えています。
棟板金の劣化症状
屋根を守る棟板金は日光や風雨を常に受ける厳しい環境にあるため、屋根の中でも劣化しやすい部材だといえます。
棟板金の主な劣化症状について、くわしく解説しましょう。
■釘やビスが抜けてくる
棟板金は釘やビスで固定されていますが、約10年程度で釘やビスの抜けが見られるようになります。
大きな原因として考えられるのが、棟板金の熱膨張です。
棟板金は金属ですので、日差しに当たると膨張しやすく、夜間の冷え込みで収縮します。
膨張するときには釘やビスも引っ張られますが、収縮する際には板金だけが縮みます。
これを繰り返すことによって、棟板金を固定している釘やビスが抜けてくるというわけです。
■貫板の腐食
棟板金を固定している釘やビスの浮きや抜けを放置していると、次第に棟板金自体が浮いて雨が板金内に侵入します。
板金の下にある貫板は木材であり、水に弱く腐食しやすいです。
貫板が腐食すると、棟板金を固定している釘やビスはより抜けやすくなり、悪循環が起こります。
■棟板金の浮きや飛散
釘の抜けや貫板が腐食している棟板金は、非常に不安定な状態にあります。
ですから、台風などによる強風で、棟板金自体が飛ばされてしまうことになりかねません。
また、棟板金が飛散したことに気づかずにいると、貫板に直接雨が当たり雨漏りの原因となってしまうでしょう。
棟板金のリフォームの種類
棟板金は住宅全体を守る大切な部分です。
定期的な点検と補修をすることで、屋根の寿命を延ばせます。
棟板金の主なリフォームについて解説していきます。
棟板金の釘打ちコーキング
棟板金の釘やビスが抜けている、または浮きがある場合には、釘打ちコーキング工事をします。
実際の作業では
- 浮いている釘を打ち直す(抜けている場合には新しい釘を打ち込む)
- 釘の上からコーキングで蓋をする
ことになります。
貫板の交換
貫板が腐食してしまっている場合には、貫板交換工事が必要です。
- いったん棟板金を剥がす
- 腐食した貫板を撤去する
- 新しい貫板を設置する
- 棟板金をかぶせ、釘で固定後にコーキングする
棟板金の交換
強風などで棟板金が飛散してしまった場合には、棟板金の交換が必要です。
棟板金の交換工事では、古い貫板と棟板金を撤去して新しいものと交換します。
- 既存の棟板金と貫板を撤去する
- 新しい貫板を設置する
- 新しい棟板金をかぶせ、釘で固定後にコーキングする
棟板金のリフォームの流れ
日当たりの良い場所ほど早めに劣化する棟板金は、定期的な点検と補修が必要です。
実際に、棟板金のリフォームを依頼する場合の流れについて見ておきましょう。
見積りの依頼
複数の工務店や修理業者へ見積りを依頼します。
見積りは「〜一式」といった書き方ではなく、詳細な部分まで記載してもらうようにしましょう。
点検状況確認
見積りの段階で点検は行われますが、あらためてくわしく棟板金や屋根全体の状況を確認します。
屋根は自分の目で点検することが難しい場所です。
棟板金の周りだけでなく、この機会に屋根全体の点検も行い、業者に写真や動画を撮ってもらって確認するようにしましょう。
施工計画の立案
棟板金の劣化状況が把握できたら、住民の方の希望を聞きながら施工計画を立てます。
棟板金のリフォームでは、ほとんどの場合足場が必要です。
もし、屋根の他の部分や雨樋などにも劣化症状が見られるときには、一度に施工すると足場代や施工日数が短縮できることもあります。
施工作業
棟板金の劣化状況に合わせて、足場を組み施工します。
アフターケア
施工完了後のアフターケアについてもしっかりと確認するようにしましょう。
万が一、何か不具合があった場合の、保障期間や内容について文書で受け取ることが重要です。
棟板金のリフォームにかかる費用の目安
当店での棟板金の補修にかかる費用は、棟板金の取り替えの場合
3,500〜8,000円ほど/m
となっています。
状況によって金額に開きがありますので、実際に屋根に上って見積りをさせていただきます。
棟板金のリフォームの注意点
棟板金をリフォームする際に注意したい点についてまとめました。
最近では異常気象が続き、屋根を補修しなければならない状況が頻繁に起きています。
それに乗じて、詐欺の被害も増えているが現状です。
どんな点に注意が必要なのか見ていきましょう。
DIYは危険
屋根のリフォームといえば、高額な費用がかかるというイメージが大きく、ご自身で修理しようという方もいらっしゃいます。
しかし、棟板金の補修をDIYで行うのは安全性の面から考えて絶対にやめておきましょう。
屋根の上は熟練の業者でも転落の危険を伴う場所です。
特に、最上部である棟まで素人が上るのは難しく、施工するとなるとさらに危険です。
信頼できる業者を選ぶ
突風や台風など、異常気象による屋根の被害は年々増えています。
それに伴って、訪問営業による屋根のリフォーム詐欺も増え続けています。
飛び込みで営業をしてくるということは、それだけ集客に困っている証拠です。
また、訪問営業では、本来なら屋根に上らなければわからないような箇所も今すぐに修理が必要だと不安をあおってくることもあります。
実店舗を持っている、ホームページがあるなど、信頼できる業者に依頼することがおすすめです。
棟板金のリフォームのメリット
住宅の外観が美しくなる
棟板金は最上部にあるため、その状態が住宅の外観にも影響を与えます。
もし、棟板金の破損や劣化が見えていると、住宅全体の印象が悪くなりかねません。
しかし、棟板金をリフォームすることで、住宅の外観を美しく保てます。
また、棟板金の色やデザインを変えることで、住宅の外観を個性的にすることも可能です。
屋根の防水性能が向上する
棟板金のリフォームによって、破損や劣化した部分を補修すると、屋根全体の防水性能を向上させることができます。
棟板金は屋根の最上部にあるため、気象や環境の影響を受けやすく、定期的なメンテナンスが必要です。
棟板金のリフォームは、屋根の寿命を延ばすためにも必要な補修であるといえるでしょう。
屋根の耐久性が上がる
棟板金が壊れたり劣化したりする場合、そのまま放置すると屋根全体を修理しなければならなくなることがあります。
しかし、棟板金を早めにリフォームすることで、屋根の劣化の進行を食い止めて修理費用を抑えることができます。
まとめ
棟板金には、激しい気象や日光から屋根全体を守る役割があり、住宅内への雨漏りを防ぎます。
そのため、棟板金の点検をせずに劣化や損傷を放置すると、屋根材の飛散や風にあおられての騒音被害も招きかねません。
住宅にとって大切な部分である棟板金は、信頼できる業者に依頼して定期的に点検・リフォームするようにしましょう。